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制作者フォーラム
最新の開催案内・報告
過去の開催記録


●コーディネーター
 ・丹羽 美之 氏
●パネリスト
 ・日笠 昭彦 氏
 ・中崎 清栄 氏
 ・辻本 昌平 氏
 ・石橋 冠 氏
★参加者の声
制作者フォーラム

過去の開催案内・開催報告

全国制作者フォーラム

***開催報告***

平成23年2月12日(土)、ホテルローズガーデン新宿(東京)にて、「全国制作者フォーラム2011」を開催。全国から制作者が集まり、熱心に講演を聴き、活発な意見交換が行われた。


【プログラム】
<第1部> 制作者フォーラム4地区のミニ番組優秀作品の視聴

<第2部> 講演、作品上映、パネルディスカッション
○「ドキュメンタリー」七つの作法 講演
  日笠 昭彦 氏(日本テレビ「NNNドキュメント」プロデューサー)
○『田舎のコンビニ』(テレビ金沢)視聴&制作話
  中崎 清栄 氏辻本 昌平 氏(テレビ金沢報道制作部)
○「現場からのテレビ論」 講演
  石橋 冠 氏(演出家)
○パネルディスカッション
 「プロフェッショナルな制作者に求められるものは」
 パネリスト:日笠昭彦氏、中崎清栄氏、辻本昌平氏、石橋冠氏
 コーディネーター: 丹羽 美之 氏

系列や地域、民放やNHKの枠を越えて―全国制作者フォーラム2011
 丹羽 美之
 (東京大学大学院 准教授)
 「現場の作業で忙殺されるなかで、改めて原点に立ち返ることができ、良いきっかけになりました」
 「石橋さんのお話に涙が出るほど感動しました。地元に戻り、今後の番組作りに活かしたいと思います」
 「本当にこういう場をもっともっと増やしてほしいと思います」
 全国制作者フォーラム2011に参加してくれた制作者たちの言葉である。

制作者の自由な交流の場
 2011年2月12日(土)、東京で「全国制作者フォーラム2011」が開催された。放送文化基金ではこれまで地域の制作者を応援する「制作者フォーラム」を各地で催してきたが、今回はいわばその全国拡大版である。全国の民放、NHK、制作プロダクションに広く呼びかけた結果、北は北海道から南は沖縄まで、若手を中心に90人あまりの制作者が集まった。
 このフォーラムの最大の目的は、制作者同士の自由な意見交換、交流の場を作り出すことにある。最近は、倫理研修やコンプライアンス研修ばかりが増えて、肝心の番組作りについてお互いの夢や希望を語る場がどんどん少なくなっている。しかも民放やNHK、地域や系列の枠を越えて、制作者が自由に意見を交わす場となると、ほとんど皆無に等しい。制作者による独自のネットワークづくりを長年にわたって応援してきたこのフォーラムの意義はますます大きくなっていると思う。
 この日、会場となった新宿のホテルでは、参加者が朝から晩まで缶詰めになり、番組合評会、番組制作に関するセミナー、講演やパネルディスカッションなどが行われた。

「イベントでカレンダーを埋めるな」
 まず午前中は、若手制作者が作ったミニ番組の視聴・合評会があった。前年秋に開催された全国4地区(北海道・東北地区、北信越地区、中国・四国地区、九州・沖縄地区)の制作者フォーラムから選ばれたミニ番組は、笑いや涙あり、発見や驚きあり、どれも力作ぞろいだった。会場からは「素材の力のある、まっすぐな作品が多かったことに、まだまだテレビの将来・可能性を感じた」「各地で選ばれた12のミニ番組は、地域の放送文化、地域ジャーナリズムの発展に極めて参考になるものだった」といった感想が寄せられた。
 午後からは、経験豊かな講師陣を迎えて、番組作りの実践編・応用編とも言えるセミナーや講演が行われた。最初に登場した日笠昭彦氏(日本テレビ「NNNドキュメント」プロデューサー)は「ドキュメンタリー 七つの作法」と題して、これまで培ってきた番組制作のノウハウや心構えを、具体的な映像を上映しながらわかりやすく解説してくれた。「君は、イベントでカレンダーを埋めていないか」「沈黙の力を知る」「インタビューの“功”と“罪”」「原稿は『音』で書け」など、ハッとされる指摘も多く、会場で熱心にメモをとっている若手制作者の姿が印象的だった。

地域で番組を作り続けること
 続いて登場したのが、中崎清栄氏(テレビ金沢報道制作部ディレクター)、辻本昌平氏(同カメラマン)の自称「凸凹コンビ」である。これまで2人は能登を舞台に数多くの名作・話題作を手がけてきたことで知られる。今回は2010年に放送された『田舎のコンビニ〜一軒の商店から見た過疎の4年間〜』を視聴し、その制作の舞台裏についてお話を伺った。もともとこの番組は夕方のニュース特集の企画からはじまり、4年間の息の長い取材を経て完成したという。地域で番組を作り続ける苦労や喜び、また地域の人々の普通の暮らしにいかに向き合うかをめぐって、参加者を交えて踏み込んだ議論が行われた。

感動できる自分を作る努力を
 最後は、半世紀にわたってテレビの第一線で活躍してきた石橋冠氏(演出家)が、「現場からのテレビ論」と題して講演を行った。石橋氏は「テレビ屋」としてのテレビへの愛と強靭なプロ根性について、これまでの経験を交えてユーモアたっぷりに語ってくれた。そして「結局のところテレビを作っているのは人間」「作り手は感動できる人間でなければならないし、その感動を記憶して番組を作ることが大切」と訴えた。参加者からは「石橋さんの話に勇気をもらった。いろいろあきらめることもあったけど、自分が番組作りを好きなことの根本が確認できた」といった声が寄せられた。
 その後、フォーラムの締めくくりとなるパネルディスカッションでは「プロフェッショナルな制作者に求められるものは」というテーマで総括討論が行われ、それぞれの参加者から制作現場を取り巻く現状への危機感と同時に、番組作りへの強い思いが次々に語られた。
 いつも思うことだが、いまのテレビには制作者同士が互いに議論し、学びあう場が少なすぎる。結果的に作り手は孤立し、ますます萎縮していく。この制作者フォーラムは、たった1日ではあったが、組織の枠を越えて「よい番組とは何か」「よい番組を作るにはどうすればよいのか」を徹底的に語り合う貴重な機会となった。いま何よりもテレビに必要なのは、こうした自由闊達な議論の場なのだと思う。

ミニ番組作品リスト
●北信越制作者フォーラム
釜田麻依子(石川テレビ放送)   あの名曲の舞台探訪「若い力」
井上 大志(NHK長野放送局) 100枚のポスターが語る戦争
小久米秀昭(北日本放送)

いっちゃん☆カンパニー 
ムヒ・池田模範堂篇

●九州放送映像祭&制作者フォーラム
川野 偉州(テレビ宮崎)

ラブレター〜残された手紙とともに〜

古田 進 (福岡放送)

お母さんの味噌汁

関 智則 (九州朝日放送) 福岡県民遺産 年間チャンピオン決定戦
●中四国制作者フォーラム
野口 大 (四国放送) アオサギは高級魚がお好き
堀内 裕介(NHK高知放送局) “光る患部”が医療を変える
坂根佳奈美(日本海テレビジョン) うちの常識よその非常識!?
●北日本制作者フォーラム
山中 利之(福島中央テレビ) 特集:証言・松川事件から60年②
「無罪判決の逆転劇」
高澤 大記(福島放送) 贖罪の旅
後藤明日香(秋田朝日放送) もう一度声を聞かせて

(敬称略/上映順)


◆プロフィール
日本テレビ「NNNドキュメント」プロデューサー 
日笠 昭彦 氏(HIGASA AKIHIKO)

20代前半は、CMや企業PRのディレクターとして経験を積み、26歳の時、TBSのドキュメンタリー番組を担当。32歳の時、プロデューサーに。担当番組は『ザ・スクープ』『選挙特番』といった調査報道系からバラエティーまで多岐にわたる。2001年、日本テレビと契約。NNNドキュメントのラインナップとクオリティ管理を担当。450本以上を世に送り出した(受賞作、多数)。構成力と若手クリエイターの育成には定評があり、勉強会の講師も積極的に務める。取材のアシストからMA作業までディレクターの“伴走者”として、今も全国を飛び回っている。
テレビ金沢報道制作部ディレクター 
中崎 清栄 氏(NAKASAKI KIYOE)

1964年北陸放送に入社しアナウンス業務や制作業務にあたる。
『ここより行くところなし』(芸術祭優秀賞)。定年退職後2006年テレビ金沢に移る。『田舎のコンビニ』(10年日本放送文化大賞準グランプリ)『NNNドキュメント08笑って死ねる病院』は書籍化された。04年放送文化基金賞個人賞。
テレビ金沢報道制作部ディレクター兼カメラマン 
辻本 昌平 氏(TSUJIMOTO SYOUHEI)

フリーカメラマン兼構成者を経て2005年テレビ金沢入社。
『向こう三軒両どなり』『聞いてくたい』『NNNドキュメント08笑って死ねる病院』などを制作。テレビ局勤務の傍ら脚本もてがけ、『まいど238号』が創作テレビドラマ大賞(日本放送作家協会主催)で大賞を受賞。ドラマ化されNHK総合2010年3月20日放送(主演 津川雅彦)
演出家 
石橋 冠 氏(ISHIBASHI KAN)

1960年日本テレビ入社。定年後フリーに。主な作品は『冬物語』『池中玄太80キロ』『昨日、悲別で』(以上日本テレビ)、『新宿鮫』『玩具の神様』(以上NHK)『兄弟』『張込み』『点と線』『刑事一代』(以上テレビ朝日)など。芸術選奨文部科学大臣賞、放送文化基金賞個人賞、橋田賞など受賞。2010年3月放送『シューシャインボーイ』(テレビ東京)がソウル国際ドラマアワード2010でグランプリ。
東京大学大学院 准教授
丹羽 美之 氏(NIWA YOSHIYUKI)

1974年生。東京大学法学部を卒業後、NHKディレクター、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程、法政大学准教授を経て、2008年より現職。専門はメディア研究、テレビ研究。論文に「アーカイブが変えるテレビ研究の未来」など。放送文化基金賞、日本民間放送連盟賞、科学技術映像祭などの審査委員も務める。放送批評の専門誌「GALAC」の編集長。

参加者の声
テレビって素晴らしい!
秋田朝日放送 後藤明日香
心に沁みた作り手たちの思い
福島テレビ 柴野 麻梨子
“伝えたい”…原点を再認識
テレビ信州 田中健次
人の心に残るものを作りたい
オルタスジャパン 二木まさ美
5分間の衝撃
静岡朝日テレビ 峰島 孝斉