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話題の放送番組を見る会・語る会(第9回)開催報告
 平成20年10月12日(日)、「話題の放送番組を見る会・語る会」を高松市のサンポート高松 かがわ国際会議場で「2008中四国制作者フォーラムinたかまつ」と同時開催した。ゲストに制作者の山縣由美子氏を迎え、音好宏氏の進行で行われた。会場には制作者をはじめ約50名が集った。

『やねだん〜人口300人、ボーナスが出る集落』 南日本放送
(2008年5月放送/51分)
山縣 由美子(やまがた・ゆみこ)氏(南日本放送報道部)
<番組内容>
 鹿児島県鹿屋市の柳谷(愛称やねだん)集落は、10年前まではどこにでもあるような過疎高齢化の集落だったが、新しく公民館長となったひとりのリーダーを中心に集落民が立ち上がった。欲しい施設は自分たちで作り、独自の商品開発で「土着菌」「焼酎 やねだん」などヒット商品を生み、増えた自主財源で「緊急警報装置」や「寺子屋」など福祉や教育も自ら充実させていった。ついに、全世帯122世帯にボーナスが配れるところまできた。館長の発案で、町の再生に必要なのはお金よりも文化だと、全国のアーティストに呼びかけた新たな取り組みも始まっている。地域の抱える問題に奮闘する“やねだん”の人々を描く。

 山縣氏はいつも自分らしい役立ち方をしたいと思っている。それは社会的な問題を告発したり、問題提起をするような番組は自分よりもできる制作者がたくさんいらっしゃると思うので、自分は、番組を見た人が元気が出たり、自分にも何か出来るのではないかと勇気がわいたり、人に少しでも優しい気持になる、そういう番組をつくっていきたいと語った。
 会場からの“どうしたら日々の仕事の中でこうした長尺の番組つくりができるのか”との問いに―― 地方局では何でも自分でやらないといけないので、長尺番組をつくるためだけに取材に出かけることもできない。そこで、とにかく日々のニュースの中で続けて伝えていこうと考えた。2、3年はとにかく続け、その積み重ねで番組ができていったと思う。1本目で、周りの皆にまず協力を得られる契機となるような作品をつくるのが第一歩…。時間をかけたていねいな番組作りが長尺番組を作れることにつながることがわかってきたと語った。
 視聴した番組は見ていて心地よいテンポの作品だったが、編集で一番気を使う点は? との問いに―― 自分の番組作りは、まず“音”と思っていること、音に“画”をあわせるくらいのつもりでテンポを大切にしていると答えた。


<制作者プロフィール>
山縣 由美子(やまがた・ゆみこ) 南日本放送 報道部

鹿児島の南日本放送にアナウンサーとして入社。現在の本業はニュースキャスターだが、報道番組の特集などを企画するなかで、次第にディレクターとして番組制作に関わるようになる。『小さな町の大きな挑戦〜ダイオキシンと向き合った川辺町の6年〜』(’03)で、第30回放送文化基金賞テレビドキュメンタリー番組優秀賞および企画賞、ギャラクシー優秀賞、文化庁芸術祭優秀賞、日本民間放送連盟賞優秀賞。2本目のドキュメンタリー作品『やねだん』(’08)が、ギャラクシー賞選奨、日本放送文化大賞(日本民間放送連盟)九州沖縄地区代表。