上記2本の作品を視聴後、それぞれの制作者が自らの作品を語り、会場参加者と意見交換を行った。
向田氏はこの番組を制作するにあたり、アスベスト被害は、身近なところにあり、誰でも被害を受けるものだということを伝えたかったと語った。会場からは、静かに丁寧に描かれている。もう少し政治的な部分を取材して欲しかったなどの意見があった。また、カメラマンの小出氏は、当初顔を出さずにモザイクにして欲しいという被害者に対し、顔を出させて欲しいと取材中もお願いをしていた。ドキュメンタリーを制作するうえで、顔を隠すことは絶対にしたくなかったと語った。
長嶋氏は、この番組は憲法9条が賛成か反対かということを言いたいわけではない。憲法というのは、国の骨格をつくるものなので、そう簡単に変えられるものではなく、変えてはいけないものである。それを守るべきは、主権者である国民で、メディアは代弁者であるべきである。今の日本の社会の中で、このことが忘れられているのではないかという思いがあり、制作者、ジャーナリストたちに対する問題提起として制作したと語った。
また、番組の持つ内容的危機感と演出の軽やかさの比重についての質問が丹羽氏からあり、テーマが重いものほどポップにつくりたい。テレビというのは、どうしても深いところまでは表現しにくいので、若い人を引き付けるような、きっかけになればいいと思っていて、あえて少しコミカルにしたと語った。 |