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話題の放送番組を見る会・語る会(第2回)

 平成15年10月24日(金)、青山荘で開催されたこの会に、放送関係者と一般視聴者計60名が参加した。つぎの2番組を視聴した後に、ゲスト両氏の話しと参加者との意見交換が行われた。コーディネーターは前回に引き続き、境 真理子氏(日本科学未来館 シニア・リサーチャー)にお願いした。

『通りすぎた17年 〜空港拡張の悲哀〜』(福井テレビ/福井)
プロデューサー 木下 義信 氏(福井テレビ 報道制作局長)
<ストーリー>
 福井空港の拡張計画が発表されると、地元住民は一斉に反発し、反対運動が展開された。「空港さえ出来れば豊かになる」という神話から、行政主導で進められた福井空港拡張計画は、小さな村の住民の関係をずたずたに引き裂いた。だが、17年後に計画は凍結。そこには勝者も敗者もなく虚無感だけが残された……。   
<木下氏 談>
 「番組としては平凡な作りだが、いま、地方がどうなっているのかを伝えたかった。
福井新聞に載った投稿がきっかけで制作したこの番組で、大型公共事業の実態に迫り、そのあり方を検証したかった。取材を続ける中で、空港の需要予測の甘さにあらためて気付かされた。地方分権という名のもと、地方政治に委ねることへの疑問や不安はぬぐえない。水や空気は良くても、地方はバラ色ではなく、政治は旧態依然と言っていい。これからも地方の政治やその実態を取り上げ、検証してゆきたい」
『小さな町の大きな挑戦 〜ダイオキシンと向き合った川辺町の6年〜』
(南日本放送/鹿児島)
ディレクター 山縣 由美子 氏(南日本放送 報道部キャスター)
<ストーリー>
 ダイオキシンを含む焼却灰を谷に捨て続けてきた鹿児島県川辺町。行政と住民が対立する地域が多い中で情報公開をした川辺町は、ダイオキシンを無害化する新技術の開発に取り組む。町の環境対策に乗り出した就任間もない保険・衛生課長の奮闘を追いながら、実験を繰り返し、試行錯誤をしながらも住民を含む大勢の協力のもとに、成功に至るまでを描いた。
<山縣氏 談>
 「アナウンサーをしていた頃、5分ほどのコーナー番組を作ったことはあったが、一人で50分もの番組を作るのは初めての経験だった。環境問題を多く取材してきたが、そのほとんどは対立構造に終始し、私自身疲れを感じはじめていた頃に川辺町の課長に出会った。6年ほど前、鹿児島県内の全市町村の環境対策を知ろうと電話帳めくりから始めた取材がきっかけとなり、この町の姿勢とその行方をカメラで追いたいと申し出た。取材は偶然も重なり、感動の連続だったが、暗い事件の多い世の中で、元気の出る番組にしたいと、いつも心がけていた」

◇◆見る会・語る会を終えて◆◇
  会場からは、東京ではほとんど見る機会のない2作品を視聴したことへの思いや、対照的な結末に終わる2作品だが取材者の熱い思いは共通している、などの意見が多くあった。
  地方から差してくる光を感じたという意見も出て、掘る<井戸>は全国どこにでもある、涸れたように思えたら、もっと深く掘ればいい…とう喩えが会場を締めくくった。