●番組部門入賞作品
北日本制作者フォーラムでは、独自の企画によりミニ番組とは別に長尺番組(55分以内)の表彰も行っており、9月に第1次審査、10月に最終審査が行われ、大賞1本、優秀賞3本が選ばれた。
賞 |
受賞者 |
番組名 |
大賞 |
田村 慎悟(宮城テレビ放送) |
ひまわりの咲いた夏〜大川小・津波に消えた命〜 |
優秀賞 |
後藤 明日香(秋田朝日放送) |
もう一度声を聞かせて 〜奇跡を信じる在宅ケア2000日〜 |
優秀賞 |
坂井 有生(福島テレビ) |
生まれ来る子ども達のために |
優秀賞 |
広瀬 久美子(北海道テレビ放送) |
国の責任を問うということ〜由仁町C型肝炎訴訟の行方〜 |
<敬称略。同賞はエントリー番号順> |
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海とどう付き合って生きるのか |
NHK盛岡放送局 放送部
中村 友信 |
 今回は、岩手大学の伊藤特任教授の説を紹介するという形で、様々な時代の遺跡の立地が明らかに海から離れた場所に集中しており、古代の人々もまた津波から逃れる為に高台に住んでいたのではないか、という番組を制作しました。
三陸の人々にとって、海は津波がやってくる場所であり、しかしまた生活の糧を生み出す場所でもありました。海から近くもなく、遠くもない中山間地の岩場に、縄文、古代期の遺跡が集中して見つかる。この事実からは、相反する2つの顔を持つ「海」といかに付き合っていくのかという課題に頭を悩ませた、過去の人々の苦心の跡が見えるようでした。
被災地での町の復興計画が動き出した今、今度は現代の我々が「どう海と付き合うか」という問に答えを出さなければ行けない局面に立たされています。今後もその一助となるような番組作りを続けていきたいと思います。
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地域の課題はグローバルな共感に! |
ミニ番組コンテスト審査員 浅野加寿子
(前NHK放送博物館館長) |
ミニ番組部門で上映された21作品のうち半数以上が東日本大震災関連で、語り継ぐことの大切さが心に響いた。大賞の「高台遺跡」は古代人のメッセージという視点が新鮮で現代人のおごりへの警告も感じられる秀作。優秀賞2作品は、それぞれ気仙沼の父子と釜石の女子高生の明日に向かって元気に生きる姿を追い希望が輝く番組だった。“リロケーションダメージ”による認知症患者母娘の闘い、父子家庭の孤立など骨太なテーマに向き合う制作者の姿勢に力強さを感じた。「ほっかむり」「サタふく ジャージ名和田」などは思わず笑いも出る楽しいものだった。生活者の目線で地域の課題に取り組む制作者の情熱は、人間ドラマに深く迫り感動と発見で見る者を魅了した。地域の課題は実は世界の各所でも起こり得ることで、グローバル時代にこそローカルな視点が大切だと再確認した審査会だった。若き女性制作者の活躍も目を引き、制作者たちのパワーを頼もしく感じた。 |