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ボケとボケにボケ返す。 |
NHK岡山放送局 制作
渡邊 学 |
 岡山市でがんを笑い飛ばそうと一人漫談を続ける男性の活動を追いました。実は男性自身も末期のがん患者。奥さんも元がん患者。そして、漫談を聞きに来た観客も声を出して笑うことができない喉頭がん患者。みんなががんという「笑えない」状況を「笑う」不可思議さに惹かれて取材を始めたものの、当初、私は男性のギャグを笑うことができませんでした。しかし、漫談会の日、男性のがんあるあるネタに観客が声を出さずに爆笑し、さらに「三途の川はボートでいかせていただきます」とボケ返すのを見て、気がつけば一人声を出して笑っていました。「笑い」は共感してくれる他者がいるからこそ成立することを知りました。入局5ヶ月目。ニュースが何であるかも分からず、「この人たちのPVを全力で作る!」と勘違いして必死で突き進んでいました。男性や喉頭がん患者の決死のダブルボケに、せめて私なりのボケで答えたいと思ったからです。
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これでもエールのつもり!? |
ミニ番組コンテスト審査員 阿武野 勝彦
(東海テレビプロデューサー) |
 久しぶりの広島は寝不足だった。こんなことをお話しようと思案している内に朝になってしまったからだ。しかし、ミニ番組コンテストもフォーラムも、何のことはない言いたい放題になってしまった。厳しいことを並べ立て、NTVの水田さんNHKの磯さんを巻き込んでしまった。大人気なかったと、ちょっと反省している。しかし、本当は、こうも思っている。若者よ!もっとドタバタ、ガチャガチャでいいじゃないか。もっと憤れ。縛られ上手になるな。技を磨いてパワーを身につけろ。それが、地域のためになる表現者への道だ。どうも、一生懸命になると、相手への期待が大きくなりすぎてしまう…。帰路、車窓から雨の広島を眺めながら、こう思った。大らかな中に垣間見せる水田さん、磯さんの仕事への真っ直ぐさが、若手制作者へ何よりのエールだったのではないか、と。 |
次回は愛媛で会いましょう |
中四国制作者フォーラム実行委員 徳光 国弘
(中国放送 執行役員報道制作局長) |
「デジカメでなくENGで、とはっきりデスクに主張すべき」審査員の意見が耳に痛かった今回のフォーラム。厳しさを増す制作環境のため日程を1日に短縮しました。27局から平均26.7歳の制作者がミニ番組(6分以内)を出品。NHK磯智明さん、東海テレビ阿武野勝彦さん、日本テレビ水田伸生さんには審査に加え「ローカルの発信力」をテーマに自らの転機・経験を率直に語ってもらいました。「音楽先行で“さあ泣きなさい”はNG」「補足スーパーの必要性は熟慮」との基礎編から「仕事の幅は自ら広げる」「愛情や友情、見えないものを撮る」「取材拒否には手紙で」「組織と個人の関係を知る」中上級編まで。「ドラマもドキュマンタリーも題材を決めたら自分で調べて作品にする」3人が口を揃えた手順は、ローカル制作者にもそのまま当てはまります。「視聴者のためにはまず自分がスキルアップすることが大事」と最後に水田さん。鉄は熱いうちに打たれているでしょうか。 |