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中四国制作者フォーラムin とくしま
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***開催内容詳細***
一日目:ミニ番組コンテスト

一日目は、ミニ番組コンテストが行われ、参加番組20作品の上映があった。結果、最優秀賞1本、優秀賞2本、審査員特別賞4本が選ばれた。
受賞者
番組名
最優秀賞
野口 大(四国放送) アオサギは高級魚がお好き
優秀賞
堀内 裕介(NHK高知放送局) “光る患部”が医療を変える
優秀賞
坂根佳奈美(日本海テレビジョン) うちの常識よその非常識!?
審査員特別賞
新田 夏希(広島ホームテレビ) 尾道観光ガイド犬「ドビンちゃん」四十九日
審査員特別賞
平野 桂子(岡山放送) 温☆時間(おんたいむ)File
審査員特別賞
中泉 慧(NHK松江放送局) 病院から起業をめざして
審査員特別賞
中島 美々加(NHK徳島放送局) 起業家支援で安住化促進

ミニ番組コンテスト最優秀賞受賞
アオサギは高級魚がお好き
四国放送 野口 大

 取材を始めたきっかけは「漁港でハモを盗み食いするアオサギがいる」という地元漁師の一言だった。ハモといえば京料理の食材に使われる高級魚で、徳島県産のほとんどは京阪神市場に出荷されている。そのハモを盗み食いするアオサギがいると聞き、その映像を撮らない訳にはいかなかった。張り込みを始めて7時間、人間の気配を気にしながら近づいたアオサギがハモを咥えて呑みこむ瞬間を捉えることが出来た。時間にして数秒だったが、この映像が撮れたことで特集として放送することになり、ミニ番組コンテストにも出品することが出来た。
 50歳になるまでマスコミとは縁もゆかりも無かった私が、支局の記者兼カメラマンとなって4年半。今回の受賞を励みに、これからも地ネタを追って愛用のカメラを回し続けていこうと思う。

ミニ番組コンテスト大賞受賞


二日目:ミニ番組コンテスト表彰式&講評、講演

 二日目の午前中は、ミニ番組コンテストの表彰式が行われた。最優秀賞に輝いた「アオサギは高級魚がお好き」(四国放送・野口大)は、日常の魚河岸の面白い風景を切り取った作品で、映像、情報、ナレーションのバランスのとれた作品だった。優秀賞の「“光る患部”が医療を変える」(NHK高知放送局・堀内裕介)は、最新医療を分かり易く、必要な情報を伝えている。ただ、良い情報だけで終わるのではなく、この最新医療が全国に広まるのにどれだけの予算と時間がかかるのか等の問題点にも触れて欲しかったという意見が出た。もう1作品の優秀賞「うちの常識よその非常識!?」(日本海テレビジョン・坂根佳奈美)は、その土地でしか通じない習慣や言葉を紹介する番組。素直におもしろい作品で、ローカルで情報を得て、ローカルに返すという、今回のフォーラムのテーマである「とことんローカル」に即したテンポの良い作品だったという意見があった。
 また、審査員から「今回のミニ番組は、明るく、人々を励ます番組が多く、これからもこういう番組を作っていって欲しい。ローカル局で番組を作れるということは、とても幸せなことで、ひとりで何から何までやろうと思えば出来る。自分の納得いく番組を目指して作っていって欲しい」と、会場の制作者にエールが送られた。
 午後は、日笠昭彦氏の講演があり、一日目のミニ番組コンテストを踏まえて、急遽「明日から使える!?実践×13カ条」と題した、企画、取材、構成、編集、原稿、PV、撮影などについての実践的な講演を行った。つぎに、坂本衛氏の講演があった。東京の放送局は街を取材対象としていない。地方局は街を取材対象として番組をつくることができる。今、地方局のがんばり、熱意を感じているので、これからも、この熱意をどんどんつないで行って欲しいとの話しがあった。



フォーラムに参加して

世代を超えた共有感
ミニ番組審査員 藤村 忠寿
(北海道テレビ放送 エグゼクティブディレクター)

 「徳島のある漁港に高級魚のハモばかりを盗み食いするアオサギの一団がいる」。知り合いから聞いたそんな話をもとに制作した1本のニュース企画。決して社会を揺るがすようなネタではないけれど、のんびりとした昼下がり、漁港に舞い降りるアオサギ、高級魚を食われても「しょうがないね」と笑う漁協の人、そんな映像を見ながら「見て良かったな」と思う自分がいる。フォーラムに参加した若手制作者たちもきっとそうだったのだろう、満場一致でこの作品が最優秀賞となった。社会に閉塞感のある今、人目をひく事件や、政治家や企業のあげ足とりに終始することより、もっと人々に伝えてあげたいことがある。制作した四国放送の野口さんは、菓子職人からこの世界に転身した55歳の新人。そんな野口さんの目線を、若手制作者たちが支持した。世代を超えた共有感。これさえあれば、健全なテレビは成立するのだと思う。




原点
中四国制作者フォーラム実行委員 大久保裕司
(四国放送 報道制作局報道情報センター部長)

 制作費削減に人員減などでローカル局の制作現場は年々厳しくなる一方です。今回のフォーラムは当初、若手制作者にローカル局だからできること(コンテンツ強化や効率化、節約など)を話し合ってもらおうなんて、ちょっと意気込んで考えていました。しかし、実行委員の「こんな話をするなら管理職も参加したい」との一言で、あっさり方向修正することになってしまいました。そこで考えたのが若手制作者のスキルアップでした。ミニ番組コンテストの講評を聞き、作品について議論し、講演者の実践的な話を聞けばスキルアップになると・・・。でも、これって『系列や地域の垣根を越えて意見交換し、自由に交流する』というフォーラムの原点そのものですよね。
 フォーラムには2日間でのべ130人が参加してくれました。特別なことをやってはいませんが、若手制作者のスキルアップに少しは役立ったのではと思っています。このフォーラムが今後も続くことを望んでおります。