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北日本制作者フォーラムinこおりやま
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***開催内容詳細***
番組部門 最優秀作品上映・制作者トーク

≪2010北日本制作者フォーラム 番組部門大賞受賞≫
『あさみさんの魔法の足〜指でつかんだ人生〜』
奥山 剛 氏(山形放送)

<番組あらすじ>
 足の指を包丁で持ち、白菜を器用に刻んでいく伊藤あさみさん(72)。
 生まれた時、脳性小児マヒで両手の力を失っていた。小学校に入学することもかなわず、母親頼りだったあさみさんに、母は、身の回りのことはすべて足を使ってできるよう、根気強く教え続けた。
 今、あさみさんは、学校や少年院で「命の学習会」と題して、命のありがたさと人はやれば出来る、ということを伝えている。まもなく100歳を迎える母は、「産んだ私を恨まず生きてくれたことがただありがたい」と言う。
 番組では、「命の学習会」の活動に密着し、病気で目から光を失った女性や、引きこもりの若者たちがあさみさんとの出会いで少しずつ変化していく様子を見守る。そして、母親、あさみさん、娘、孫たちまで4世代の家族の「命の重さの受け継ぎ」を伝える。


 奥山さんは、最初、あさみさんの「命の学習会」の講演を聞いた人々の心の変化を描きたいと考えていたが、あさみさんを取り巻く家族の素晴らしさが心に残り、あさみさんの人生を描きたいと思った、と述べた。2年前の北日本制作者フォーラムでミニ番組コンテストに参加したのをきっかけに、長尺の番組を作るようになり、今後の作品作りに関しては、引き続き、山形の人々を描く作品を作りたい、と語った。


ゲストトーク&プレビュー

「福島こどものみらい映画祭」と「映画塾」
久我 和巳 氏(福島こどものみらい映画祭実行委員長、福島大学教授)

 久我氏は、2009年に始まった「福島こどものみらい映画祭」の実行委員長。その中で、「3日間で映画を創る」という合言葉のもと「ふくしま映画塾」を開催している。県内から応募してきた10〜60代の人々が、5〜6人ずつグループに分かれて、3日間でゼロから短編映画を作る。
 映画塾の目的は、プロになるのではなく、立派なアマチュアになること。制作過程での塾生の苦労や感想を、いくつかの作品を上映しながら語った。参加した塾生からは「制作の大変さを感じた」、「実際に作品を作ると、自分が伝えたいと思ったのとは違うメッセージが伝わる作品になってしまったかも知れない」などの感想が寄せられたという。



ミニ番組コンテスト入賞作品
 参加番組18本の中から、大賞1本、優秀賞2本、審査員特別賞2本が選ばれた。
<敬称略。同賞はエントリー番号順>
受賞者
番組名
大 賞
山中 利之(福島中央テレビ) 特集:証言・松川事件から60年②
「無罪判決の逆転劇」
優秀賞
高澤 大記(福島放送) 贖罪の旅
優秀賞
後藤 明日香(秋田朝日放送) もう一度声を聞かせて
審査員特別賞
若月 貴代(東日本放送) Jチャンみやぎ特集
海外移植待つ5歳の命
審査員特別賞
大竹 智和(北海道文化放送) SAPPORO COLLECTION ON TV

ミニ番組コンテスト大賞受賞
冤罪の歴史は繰り返される
福島中央テレビ 山中 利之

 60年前に福島県内で起きた戦後最大の冤罪事件「松川事件」。その事件の検証を通して、「裁判員制度が始まった今の時代に生きる私たちは何が出来るのか」を問いかけようと、去年の夏から取材を始めた。受賞作「証言・松川事件から60年 無罪判決の逆転劇」は、3回連続で放送したニュース特集の2回目で、警察・検察が作り上げた冤罪のシナリオを崩し、裁判を逆転無罪に導いた当時の新聞記者の証言から、今の時代も冤罪が起こる可能性があることを指摘している。「ながら視聴」の多い夕方ニュースの時間帯。60年前の事件に関心を持ってもらうため、「いかに可視化し、同時代性を持って伝えられるか」が課題だった。そして、今年起きた大阪地検特捜部の証拠改ざん事件。「冤罪の歴史は繰り返される」そんな思いを強く感じさせる中での受賞になった。

ミニ番組コンテスト大賞受賞


「番組部門」入賞作品
 北日本制作者フォーラムでは、独自の企画によりミニ番組とは別に長尺番組(55分以内)の表彰も行っており、8月に第1次審査、9月に最終審査が行われ、大賞1本、優秀賞2本が選ばれた。
<敬称略。同賞はエントリー番号順>
受賞者
番組名
大 賞
奥山 剛(山形放送) あさみさんの魔法の足
〜指でつかんだ人生〜
優秀賞
西村 和史(仙台放送) 男として親として
〜仙台、ある父子の物語〜
優秀賞
宮川 拓実(秋田放送) ABSスペシャル
いのちの歌


フォーラムに参加して

制作者フォーラムに参加して
ミニ番組審査委員 長谷 正人(早稲田大学教授)

 ミニ番組コンテストが始まる前に、「ふくしま映画塾」の作品が上映されて、大変刺激的でした。福島県内から応募のあった初心者たちが、たった3日で作ったという映画が、粗削りとはいえ、大変自由な発想で作られていたからです。とくに主人公の少年がDV現場から救出しようとした女性に逆に叱責される作品に驚きました。家庭内暴力のなかにも捻じれた愛があるのかもしれないという人間の真実が、いまの社会道徳の枠を超えて表現されていたからです。それに比して、ニュース番組や情報番組の一コーナーとしてプロが作ったミニ番組は、被害者を傷つけてはいけないという社会的な配慮でがんじがらめのように感じました。どんな社会問題もまさにどこかで見た番組をなぞるように作られるのです。テレビももう少し自由になって輝いてほしい。そう切実に思った一日でした。




ローカルの志士は、
立ち上がったか?
北日本制作者フォーラム実行委員 宇野 英人
(福島放送 報道制作部制作担当部長)

 「デジタル維新 出でよ!ローカルの志士」。今年の北日本制作者フォーラムでは、久しぶりにテーマを設けた。来年は完全デジタル移行の年。そして今年はまさしくデジタル移行を前にした、大げさにいえば「維新前夜」。会津藩ゆかりの土地としても「維新」は関わりのある言葉。当日はミニ番組部門参加者はじめ、多くの「ローカルの志士」の皆さんの参加をいただき、懇親会含め様々な意見交換が行われて熱い1日となった。また番組作りのスパイス、ヒントになればと思い、素人が3日間で短編映画を作る「映画塾」の試みを、ゲストトークとして「映画塾」主宰者である福島大の久我和巳さんにお願いした。1日開催でバラエティある内容を盛り込んだが、これらが刺激となり、皆さん「志士が立ち上がる」きっかけ作りが出来たのなら、世話人会一同、幸せである。