●「ミニ番組コンテスト」入賞作品
参加番組32作品の中から、グランプリ1本、準グランプリ2本、審査員特別賞4本が選ばれた。 |
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グランプリの『揺れるダム建設の根拠』は、熊本県が路木ダムの建設根拠とする「事実」が「真実」なのか、丹念に取材し、検証を行った結果、県が示したいくつかの根拠は捏造によるものだと判明。現在も取材を続けている。準グランプリの『失踪!? 愛しのリカちゃん』は、村田さん(86歳)が溺愛する、37年連れ添ったアフリカゾウガメのリカちゃんが行方不明に。番組で情報提供を呼びかけ、生放送中に無事、再会を果たす。準グランプリ作品『いのちの授業〜プロローグ〜』は、長崎県立島原農業高校で、ニワトリを卵から育て、自らさばき、食べる授業に1年間密着する。出品作はその初回の放送で、高校生が生命の誕生に感動する場面が描かれた。 |
揺らぐダム建設の根拠 |
熊本放送報道部 宮脇 利充 |
熊本県天草市に建設されようとしている路木ダムについての問題点をまとめた特集を、5分にしました。この1年、県が主張する建設の根拠が虚偽に満ちていることが、次々に明らかになっていますが、県議会は、野党議員の2度の質問以外は全くの無風状態で、予算を承認しました。捏造に基づく事業が認められるのであれば、行政はなんだってできることになります。それでいいのか?県の建設方針は変わらず、私たちの取材は今後も続きます。 |
●トークセッション
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「"忘れられた人たち"との出会い」 |
岡崎 栄 氏(演出家、脚本家) |
自身の50年以上の経験を元に、取材対象者との関係、表現することの難しさを語った。時代の波に翻弄されながらも、弱い立場で懸命に生きる市井の人たちに光を当て、ドラマやドキュメンタリーの中で紹介してきた。岡崎氏は、いい番組とは、制作者が伝えたいことを視聴者にきちんと受け取ってもらえる番組だという。また、人びとの生活や生き様をそのまま映し出すためには、深い関係を築かなければ難しく、地元に密着し、継続して番組を作ることは地方の制作者にしか出来ないため、地元での生き方を大切にしてほしい、と締めくくった。 |

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熱いエールを送りたい |
ミニ番組審査員 中野 英世(フリーランスカメラマン) |
地域に人がいて、場があって、それを伝えたい人がいる。九州・沖縄地区の32本のミニ番組を見終わってまずそう感じました。極めてシンプルで当然のことながら、放送現場とはまさしくそのことによって成り立っているといえるでしょう。32本ひとつひとつに、このいわば「三位一体」ともいうべきものが感じられたのは大きな収穫でした。グランプリを獲得したRKK熊本放送の「揺れるダム建設の根拠」は、地道に検証を積み上げることで、権力が隠してきた事実を明らかにするという、ジャーナリズムの基本的な役割を私たちに示してくれました。私は同じ仕事をする者として大いに励まされました。そして今、私は32本を作ったディレクターのひとりひとりと語り合いたい衝動を覚えています。それほど今回の番組はみな作り手の心とやる気を感じさせるものだったのです。やはり放送現場は人だ、と改めて思いました。若い制作者たちに心からのエールを送ります。 |