●「ミニ番組部門」入賞作品
ミニ番組コンテストでは、北海道・東北地区の制作者による参加番組23作品の中から、大賞1本、優秀賞2本、審査委員特別賞3本が選ばれた。 |
<敬称略> |
●「番組部門」入賞作品
北日本制作者フォーラムでは、独自の企画によりミニ番組とは別に長尺番組(55分以内)の表彰も行っており、10月に第1次審査、11月に最終審査が行われ、大賞1本、優秀賞2本が選ばれた。 |
<敬称略> |
●パネルトーク「地域を掘る〜なににこだわるのか〜」
ジャーナリスト鎌田慧氏による講演と会場との質疑応答。
鎌田氏は、全国47都道府県全てを歩き、取材を続けて40年。いま、地方の人びとは、中央から大きな企業を誘致すれば地域が活性化するという「開発幻想」に総括をしはじめた。一村一品と言われるが、一村百品のほうが良いと自分は思っている、零細の知恵・知恵のネットワークこそが大切である。地方の発展は中央と対立する構造に最近はなってきているようだと、冒頭に述べた。
ジャーナリストはたえず自己批判、自己内省をしながら、本当にやりたいことを見つけるのが使命であり、地に足をつけた踏ん張りで地域を変える仕事をして欲しい、と語った。また、テレビに携わるものとして“一億総白痴化”は、肝に命じて欲しいとも加えた。
これまでの経験にふれ、「取材」というのは相手が話しやすい環境を作ることが大事で、聞き手はむしろ凡庸でよい。聞き出すテクニックではなく、引き出す「心」が大切と語った。 |

|
「地域のつながりで系列の壁を越える」 |
朝日新聞 編集委員 川本 裕司 |
「人っていいなあと思えるとき、心豊かになれる。人のすてきさを伝えることで、テレビの文化、豊かさに役立てたらと思う」――秋田市で11月5日に開かれた「話題の放送番組を見る会・語る会」では、「消える産声」を手がけた中京テレビの大脇三千代記者が番組制作に取り組む動機を語った。
地方の産婦人科医が激減する現状を報告し民放連賞最優秀賞などを受けた「消える産声」の視聴後、コーディネーターの丹羽美之・法政大准教授は「驚愕のリポートでありながら、悪人を簡単に作らず、川上から川下まで問題を一望できる」と評して、作風の秘訣を尋ねた。これに対し、大脇さんは「どなたかと話しているのをカメラマンがのぞいている感じだったらベストだと思う。インタビューと思わないようにしている」と答えた。取材対象に密着し、見る者の感情を揺さぶるような映像を重ねて、問題の核心に迫る制作手法の一端を明らかにするとともに、「人には優しく、事実には厳しく」という制作者としての姿勢を明快に述べた。
語 る会で同じく取り上げられ、北日本制作フォーラムの番組部門大賞に選ばれた「僕の体が骨になる」を担当した宮城テレビ放送の熊谷光史記者は「難病を前面に出すのではなく、いまどきの少年を主人公として家族の絆を描こうとした」と、丹念に一家を追ったドキュメンタリーの制作意図を話した。二人の制作者と対話し、会場から質問を引き出した丹羽准教授は「系列のつながりで地域の壁を越え、地域のつながりで系列の壁を越える」と締めくくった。
このあと、パネルトーク「地域を掘る」のゲストに招かれたジャーナリストの鎌田慧さんは、「文句があり、変えようとすることが取材のモチーフとなる。ジャーナリストに企業内も企業外もない。企画を何度も出してデスクがしょうがないと思うような情熱と意欲があるかどうかだ」と語りかけた。ジャーナリズムの原点を熱く訴えた言葉だった。 |