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平成20年度助成金贈呈式

 2009年2月27日(金)、東京・平河町の海運クラブで「平成20年度助成金贈呈式」を開催しました。
 平成20年度の助成対象は49件(うち海外3件)、助成金額は計6,440万円で、対象件数は、昨年度と同数。
 今年度の助成の申請件数は昨年度より2件少ない140件で、採択されたのは技術開発で16件、2,700万円、人文社会・文化で33件、3,740万円(うち海外3件、480万円)。申請に対する採択率は35%でした。

【今年度の特徴】 

技術開発部門  
 超高精細や立体映像など次の時代のテレビを目指す研究開発が盛んになる一方、障害者を含めた全ての人に放送サービスを提供しようという試みも複数あり、幅広い分野からの研究が採択された。
 超高精細テレビの関連では、「超並列光リンク技術のための面発光レーザアレイの開発」がある。この研究は、光波長を多重できる革新的な光ファイバーの光源を開発し、現在の100倍から1000倍の超大容量の伝送路を実現しようというもので、スーパーハイビジョンの実用化に欠かせない技術と評価された。立体映像では、焦点距離を高速に変化できるキーデバイスを使って、眼鏡なしで立体映像を表示しようという「人に優しく疲労感の少ない空中3D表示技術の研究」が採択されている。
 「放送のカラーユニバーサルデザイン化に資する色弱者の瞬間混同色差の研究」は、色弱者が見分けにくい色の組み合わせをデータで客観的に判断できるシステムの構築を目指すもので、放送による情報格差の解消に役立つと評価された。
 「映像コンテンツの“かわいさ”に基づく注意・感情誘導技術の開発」は、脳波や皮膚電気活動、表情筋センサを組み合わせてアニメやキャラクタに表現される“かわいさ”を分析しようとするもので、技術開発分野では、近年、心理学や生理学をツールとして放送コンテンツを科学的に分析・解明しようという動きが広がる傾向にある。

人文社会・文化部門  
 メディアとしての放送が世論の形成に大きな影響力を持っていることに着目して、放送が社会の中で果たしている役割を具体的に分析、検証する研究が複数採択された。放送メディアが政治的立場を明確にする傾向が強まっているアメリカを対象に、市民によるメディア監視団体とメディア側の相互作用を分析する研究や、中国の環境問題を中国のメディアがどのように取り上げているか検証する研究などである。日本の裁判員制度で議論となっている関連報道の影響を詳細な模擬裁判実験で明らかにしようという研究も採択された。
 デジタル化に関連しては、アナログからの移行にあたって高齢者や経済的弱者への対策をどうするか国際比較によって考察する研究や災害時の情報共有手段としてデータ放送や携帯電話の活用方法を検討する研究などが採択された。
 又、過去の放送番組をアーカイブとして管理するシステムの研究のほか、アーカイブに保存された番組を素材として新しい番組を制作しようという研究や過去の番組を共に視聴して高齢者の活性化に役立てようという試みなどもあり、整備が進んでいるアーカイブの利用方法を具体的に研究する動きが出てきた。
 この他、放送番組のインターネット配信を日韓で比較考察する研究や、放送と通信を規制する法制度のあり方を事業者の立場、あるいは市民の立場、また、EUとの比較で考察するなどの研究やシンポジウムが複数採択されており、助成対象として、放送と通信の融合をテーマとしたものが増えているのも今年度の特徴である。