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放送文化基金賞

受賞のことば 第44回【番組部門】ラジオ番組

★最優秀賞

SBSラジオギャラリー
幸せのカタチ ~本当の親子 本物の親子~

(静岡放送)

菊池勝さん、原田亜弥子さん

 静岡市は里親委託率が全国一位(制作時)の日本一里親に優しい街。しかし静岡市民でそれを知る人は皆無です。私たちもこの番組を作るまではそんな一人でした。
 里親制度に興味を持ち、まず里親支援センターを訪れると里親制度についての説明が始まりました。それは実に2時間にも及び正直、今日はもう少し軽い気持ちで来たのに・・・と思いながらも聴いていると、私たちは根本的に勘違いをしていた事に気づかされました。この制度は子供が欲しい大人の為の制度じゃない。社会的擁護が必要な子供たちが幸せになる為の制度なのだ。子供が欲しくてここを訪れる夫婦をはじめ、多くの人がそれを理解していない。だから最初に教えるのです。
 子供が幸せになる為の里親制度。それなら番組の最後も絶対にハッピーにしよう。ゼロから作る家族のカタチは幸せのカタチでもある。そんな気持ちで作った番組が今回栄誉ある賞に輝きました。取材で私たちが感じた里親家族への敬意が共感を持って聴かれ、彼らの日常にスポットが当たる事を嬉しく思います。
静岡放送 菊池 勝

★優秀賞

神田・神保町 レコード屋のおかみさん
(地方民間放送共同制作協議会 火曜会)

 キー局(発局)を持たない地方民間放送ラジオのネットワーク、火曜会。そこで私達は洋楽DJ番組を作っています。昨年、その火曜会が60周年を迎え記念番組の制作依頼をいただきました。昔とった杵柄でしょうか、無性に音楽関連番組を作りたくなりました。以前からなじみの神田神保町レコード屋さんのおかみさんの目を通して、もう一度、ラジオと音楽の関係を見つめ直してみたいと思いました。そのテーマにスタッフも賛同し一所懸命。なによりも樹木希林さんが熱演してくださり今回の受賞となりました。名誉ある賞、大いに感謝。
 この番組を天国においでのおかみさんに捧げます。
石井 彰、入江たのし、亀渕昭信(文責)

亀渕昭信さん、加藤義久さん
樹木希林さん

●奨励賞

原爆の惨禍を生き抜いて
~知られざる“原爆孤児”~

(NHK)

西垣幸児さん、碓田潔さん

 おととし5月、オバマ大統領の歴史的な広島訪問にあわせ、被爆者を取材した際、「なぜ核なき世界を訴えたときにすぐ来てくれなかったのか」と怒りを見せた川本省三さん。“原爆孤児”としての体験を子供たちに伝えていた。「食べるものは新聞紙だけ。亡くなった孤児は、川原で焼かれた」。孤児たちが、同窓会を開いていると聞き、取材を重ねた。被爆に対する差別にさらされ、身を潜めるように生きてきた孤児たち。誰に言っても理解されないと思い、口を閉ざしてきたが、「過ちが繰り返されないよう若い世代に残したい」と初めて証言。体験を綴った文集も見つかった。知られざる“原爆孤児”の実像が、戦後70年をこえ、明らかになってきた。
NHK 西垣幸児