HBF 公益財団法人 放送文化基金

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放送文化基金賞

受賞のことば 第41回【番組部門】ラジオ番組

★最優秀賞

YBCラジオスペシャル
花は咲けども~ある農村フォークグループの40年~

(山形放送)

伊藤和幸さん、伊藤清隆さん

 「影法師」が新曲を作っていると聞いたのは、メンバーで専業農家の遠藤孝太郎さんが「行者菜」という新野菜の収穫作業を取材しているときでした。原発事故から1年後のことです。「花は咲けども」は、「被災していない自分たちが福島の歌など歌っていいのか」と自問し葛藤の末、出来上がった歌です。時には厳しい質問もぶつけましたが、その都度、真剣に答えを探してくれました。
 原発事故から4年余りが過ぎましたが、山形県内ではまだ3600人が避難生活を続けています。福島の仮設住宅で暮らす人たちも先が見えない生活を余儀なくされています。「原発事故を風化させてはならない」。腹を据え、覚悟を決めて石を投げた影法師。その波紋が少しずつでも広がって欲しいと願っています。
山形放送 伊藤和幸

★優秀賞

大須演芸場盛衰記~笑ってさよなら
(東海ラジオ放送)

 大須演芸場は、地方では珍しい常打ちの寄席で、名古屋の大衆芸能の拠点の一つでした。しかし昨年閉館となり、およそ半世紀にわたる歴史にひとまず幕を下ろしました。演芸場の運営については、営業努力や演者についてなどさまざまな課題が以前から指摘され、市民の間でも閉館の話題は注目を集め賛否さまざまな意見が交わされました。こうした動きがきっかけとなり番組作りを考えました。大須演芸場が人々にとってどんな場所だったのか?その盛衰を客観的な視点で描けないかと考え、演芸場を擬人化したナレーションで紹介しました。演芸を愛するさまざまな人たちが出会う場所、それが大須演芸場でした。こうした分野の番組を評価していただいた事に感謝します。
東海ラジオ放送 秋田和典

●奨励賞

RBCiラジオスペシャル
学童疎開船・対馬丸撃沈70年

(琉球放送)

土方浄さん、島袋千恵美さん

 もし、父が「対馬丸」に乗っていたら、今の私は存在していなかったかもしれない…との思いと、これまで重く口を閉ざしてきた「対馬丸生存者」宮城政和さんとの出会いに心を突き動かされたことが、番組を制作するきっかけとなりました。宮城さんが心を開いて証言をしてくれるまで約1年かかりましたが、放送後、「あんたのお陰で、慰霊祭に行くことができたし、僕を助けてくれた方の遺族さんにも会えてお礼を言うことができた。ありがとう。」との電話を頂いたことが、何よりも嬉しかったです。そして、島が焦土と化した沖縄戦を生き延びた人々から預かった「命のバトン」を私たちはどう次代に繋いでいくか深く考える機会にもなりました。
琉球放送 島袋千恵美